

阿波國風土記 編輯纂
<筑波大学図書館蔵書 見開きNO-77-78>
又 忌部寶物 讃州大野原 平田源助方に号投スト云
□□先祖 □□ 宅□ □□□ □□
明和同明後 □山ニ字なる明 口山此なれも同し 宮内左近
朝臣従五位上
宣命執達如件
嘉祥四年八月朔日壬子
左近衛女将藤原行常朝臣 御在判
西端山きら源書此ろけ忌部□あり
前の件の如く忌部の神の鳶跡寶物写失くかミさびて□□
むなり程に冗及ひ*□れど美馬郡□るハ延喜年局までハ
麻植郡にてありしと云説いぬかしきなりとおもひぬる是□ハ
劔山の山頂ハ當□郡の辻にして
上の図の如く一郡ゝ入交りなく山の尾岬*出タル也種穂山の岬に
麻植郡美馬郡の境あり又祠へ直見渡して岩津の西長峰と云処
阿波郡美馬郡の境也
是故に曽仕谷も東又迠水ヨリ西ハ美馬郡なりいつれも同じ波山の山より流れ出る
水を郡の境とするなり
鼓山の境石より貞光の川迠ハ三宝もあれば此□□妙何の倫ひなり
貞光村の口より三好郡の境までハ一里の上ハなく□バ美馬七戸ハ麻植郡になる抗に思ふなり
劔山の上に平家の馬場と云号あり此処より□れバよく知れるなり
(図)
丸で囲まれた(劔峰)を中心に(s/東端山なり⛩/西)
麻植郡から 右回りで
麻植郡(s/此筋種穂権現也 北方)
美馬郡
三好郡
土佐国
海部郡(s/南)
那賀郡
勝浦郡
名西郡(s/東方)
現代訳
また、忌部の宝物が讃岐国大野原にあり、平田源助方へ「号投」した(渡した/移した)という。
□□先祖、□□、宅□、□□□、□□。
明和の同明後に、□山に字なる明口山(この名であるのも同じ)——宮内左近。
朝臣従五位上。
宣命を執り達して右のとおり。
嘉祥四年八月朔日、壬子。
左近衛女将・藤原行常朝臣(御在判)。
西端山喜良の源書に「此ろけ忌部□あり」とある。
前の件のとおり、忌部の神の鳶跡の宝物は写しを失い、神さびて□□、
虚ろであるほどに冗も及び*□れるが、
美馬郡□るは延喜年局まで麻植郡であったという説は、いぬかしき(疑わしい)と思われる。これは□は――
劔山の山頂は当□郡の辻(境)であり、
上の図のとおり、一郡が入り交じることなく、山の尾岬*が出ている。
種穂山の岬に麻植郡と美馬郡の境があり、
また祠へ直見渡して、岩津の西長峰という所が阿波郡と美馬郡の境である。
このため曽仕谷も、東又迄は水より西が美馬郡である。
いずれも同じ波山の山から流れ出る水を、郡の境とするのである。
鼓山の境石から貞光の川までには三宝もあるので、此□□妙、何の倫(道理)であろうか。
貞光村の口より三好郡の境までには一里の上はなく、□ば美馬七戸は麻植郡になる抗(こう)に思うのである。
劔山の上に「平家の馬場」という号があり、此処より□れればよく知れるのである。
(図)
丸で囲まれた劔峰を中心に(東端山なり/西)。
麻植郡から右回りに、
麻植郡(此筋、種穂権現也・北方)→美馬郡→三好郡→土佐国→海部郡(南)→那賀郡→勝浦郡→名西郡(東方)。
憲明愚曰東端山きら谷の忌部鳶跡も基の名号鳶地 亦の忌部と云ふ号ニ傑てよし坐□も美馬郡の内其ハ美馬 郡も西へ七歩よりし祠にて阿りぬれバ天日鷲命の鳶跡とは 云難し其故ハ□此日本の国郡の境を立しハ聖武天皇の 御宇 帝行基菩薩に命して国郡の境を宣免たとふ と阿り□ニ感ずるに境たるハ此郡境国境の言皆出の色 水の流れ石の姿にて分別せりと冗くて讃岐の国ハみかげの砂 阿波国阿波郡の出ハ赤く阿利なり石は秘色石と云ふて燭色の 粟餅の如き地合也麻植郡の出ハ埃出にて色は燭色にしてかし □をしてたる如き色なり綺麗に彩色したる如く白黒赤煤竹 色貫いろ喜色寶色沉色又光りあり宝剛瑠璃世界に入り如し 又美馬郡の出色ハ一入黒くして掛同□ミ重し石ハ多く喜色多しとハ白色もあれ共多くハ□黄色なり 三好郡の出いろ又重くして色ハ美馬郡より一入り黒しむ□祠ハ色赤し是ハ 陽地の故也又板野西郡ハま*ちとして□しくのねぞし石ハ 阿波郡の如し色かし喜し下板ハ石かりくありても山石の 如くにて川石といふハなし阿る時は粟□のかし黒き杭の色也 名西郡ハ麻植の石の重くねずきり如し石ハ青き色なり 川の石ハ麻植の□□麻になく□きに局クニハ白きも阿り 名東郡ハ名西郡に等しく出かし黒し石ハかし 在時ハ青黒なり白ハなし□併川筋にハ上郡より時流れ□たるり又号にて□下ヶたる 此局ニハ阿るなり
(現代訳)
憲明愚曰
東端山きら谷の忌部鳶跡も基の名号鳶地
亦の忌部と云ふ号ニ傑てよし坐□も美馬郡の内
其ハ美馬郡も西へ七歩よりし祠にて阿りぬれバ
天日鷲命の鳶跡とは云難し
其故ハ□
此日本の国郡の境を立しハ
聖武天皇の御宇
帝行基菩薩に命して
国郡の境を宣免たとふ
と阿り
□ニ感ずるに
境たるハ
此郡境国境の言
皆出の色
水の流れ
石の姿にて分別せりと冗くて
讃岐の国ハ
みかげの砂
阿波国阿波郡の出ハ
赤く阿利なり
石は秘色石と云ふて
燭色の
粟餅の如き地合也
麻植郡の出ハ
埃出にて
色は燭色にして
かし□をしてたる如き色なり
綺麗に彩色したる如く
白
黒
赤
煤
竹色
貫いろ
喜色
寶色
沉色
又光りあり
宝剛瑠璃世界に入り如し
又
美馬郡の出色ハ
一入黒くして
掛同□ミ重し
石ハ多く
喜色多しとハ
白色もあれ共
多くハ□黄色なり
三好郡の出いろ
又重くして
色ハ美馬郡より
一入り黒し
む□祠ハ色赤し
是ハ
陽地の故也
又
板野西郡ハ
ま*ちとして
□しくのねぞし
石ハ
阿波郡の如し
色かし喜し
下板ハ
石かりくありても
山石の如くにて
川石といふハなし
阿る時ハ
粟□の
かし黒き杭の色也
名西郡ハ
麻植の石の重く
ねずきり如し
石ハ青き色なり
川の石ハ
麻植の□□麻になく
□きに
局クニハ
白きも阿り
名東郡ハ
名西郡に等しく
出かし黒し
石ハかし
在時ハ
青黒なり
白ハなし
□併
川筋にハ
上郡より
時流れ□たるり
又号にて
□下ヶたる
此局ニハ阿るなり
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