
:阿波國風土記 編輯纂
<筑波大学図書館蔵書 見開きNO-33>
(二郎大神宮)
祭神 豊受皇太神 天照皇太神
三月十六日 七月廿六日 九月六日
此社ノ謂レハ 地名交合石ノ霊ニ委しく語れりぞ
茲ニ写シテ 天王淤謄山ノ頂 交合石ニ法産也
(小祠部)
大山祇神 淤謄山ニ在 同業師山ニ在
同下楠ニ在 同交合石ニ在 同日鷲谷ノ中ニ在
同三社谷ノ東烏帽子谷ニ在 此社法産古シト云
野神社大樗ニ在 中西祠ノ上ニ在 西垣ノ上ニ在
東ノ*門ハしニ在 業沙山ニ在 小原谷ニ在
城谷ニ在 主宿るノ上 此ニ在 薬妙山ニ在
書写ノ上ニ在
二郎大神宮
この神社の祭神は、豊受皇太神と天照皇太神である。
祭礼は三月十六日・七月二十六日・九月六日の三度に行われる。
この社のいわれは、地名「交合石(まじわいし)」の霊験について
詳しく語り伝えられている。
ここにその記を写し伝える。
天王の淤謄山(おとやま)の頂上、交合石の場所において、
神法の産み出でたところ(=法産の地)である。
小祠部(しょうしぶ)
大山祇神は淤謄山に在す。
また同じく業師山に在す。
また同じく下楠に在す。
また同じく交合石に在す。
また同じく日鷲谷の中に在す。
また同じく三社谷の東、烏帽子谷に在す。
この社は法(のり)の発したること古しと伝える。
野神社は大樗に在す。
中西祠はその上に在す。
西垣はその上に在す。
東の門の端に在す。
業沙山に在す。
小原谷に在す。
城谷に在す。
主宿るの上、これに在す。
薬妙山に在す。
書写の上に在す。
語句注(簡明)
- 法産(ほうさん):神の法(のり)・教えが発した場所。
- 在す:神が鎮まる・祀られる。
- 交合石:男女神の合祀・陰陽合一の象徴石。
- 主宿る:神宝を宿す地(「地=ち」仮借)。
- 書写:写経や修法の地。
翻刻文(左頁)
忌部神社の内ニ在り
佃谷ニ在り(各)
石佛谷ニ在り(各)
小原地ニ在り
天王山の麓ニ在り
窪各ニ在り
白山各ニ在り
諸谷各ニ在り
三社谷ニ在り(各)
主宿る境内ニ在り
日鷲谷ニ在り
桑内神社 桑内の地ニ在り 天村雲神社の末社なり
此小社数ゝあれども 田九しり云しぬ
岐神社 舟戸木ニ在り 大石の地ニ在り 此皆古き社なり
現代語訳
忌部神社の社域内には、
佃谷・石仏谷・小原地・天王山の麓・窪・白山・諸谷・三社谷など、
それぞれの地に社があり、また「主(あるじ)宿る境内」にも鎮座する。
さらに日鷲谷にも社がある。
桑内神社は桑内の地にあり、天村雲神社の末社である。
この地には小社が数多くあるが、いずれも田九(たく)を行い、
その制を伝え行い終えてきた(=田租・供田の風習を継承してきた)。
岐神社は舟戸木および大石の地に鎮座し、いずれも古い社である。
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