
草房の事
観音菩薩の本尊也
西乃門の房に安置せり時代古し
モぎ谷房本尊観世音菩薩
又藤の棚の房と云
錬心地藤庵葉□るの前ニ在
六地蔵庵只今八名ニ在
穴観音庵 二ッ□の西山の半腰ニ在
此庵地至て古代の開基と左冗く
庭前に大岩在其いしに文字併ニ
上下兼用の像を剛刻阿り□に曰
「朝日さ寿 夕陽輝きの元に 貫金千両□明の月」
現代訳:草房のこと(第四十五頁)
観音菩薩を本尊とする庵である。
西の門の房に安置され、時代はきわめて古い。
「モぎ谷の房」は観世音菩薩を本尊とし、
また「藤の棚の房」とも称される。
錬心地の藤庵は、葉○(在/至)るの前にあり、
「六地蔵庵」は、いまは八名(やな)と呼ばれる地にある。
「穴観音庵」は、二ツ○の西山の中腹に位置する。
この庵地はいずれも古代の開基であり、
庭の前には大きな岩があって、
その石面には文字と上下二体の像が同じく刻まれている。
その銘に曰く、
「朝日のもとに寿(ことほ)ぎ、夕陽の輝きに照らされて、
貫く金千両、あかるき月のごとし。」
とある。
翻刻
工藤伊賀馬
此通ノ文鮮ニ彫附アルナリサレハ
此大岩ノ下ニ貫金ヲ埋ンアルニヤ
此所ノ岩ノ局ヨリ掘出シタル展物ノ事
娑渇羅龍王赤銅ノ如キ黒青色ノ金佛也
唐金ノ哉竜王ノ像ノ頭上ニ戴キタルト冗ヘルト也
弓屋ノ箭ノ根古物焼物ノ花瓶喜ツ
右是當村ノ画工藤尾柳州ト云フヲ掘出セシト也
訓読
工藤伊賀馬
此通の文鮮に彫附あるなりされハ、此大岩の下に貫金を埋んあるにや。
此所の岩の局より掘り出したる展物の事、娑渇羅龍王、赤銅の如き黒青色の金佛也。
唐金の哉、竜王の像の頭上に戴きたると冗へると也。
弓屋の箭の根、古物焼物の花瓶、喜ツ。
右、是當村の画工、藤尾柳州と云ふを掘出せしと也。
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