阿波國風土記編輯雑纂 (明治写本)翻刻に挑戦しています 誤読/指摘/お気づきのある方(みんなで翻刻しませんか)

斎王臥淵

筑波大学図書館所蔵『阿波國風土記編輯雑纂』翻刻
同図書館情報提供済

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伊比良咩神社殿

伊比良咩神社についての覚書

伊比良咩神社は
藍住町に鎮座する神社である

案内板によれば
祭神は伊比良比咩命であり
阿波国風土記にも見える神名として紹介されている

また
大宜都比売命または大宜貴命
素盞嗚尊などをあわせ祀るとされる

ただし
祭神表記
配祀神
風土記本文との対応
後世社伝との関係については
今後も確認を要する

左三つ巴紋

社殿には
左三つ巴紋が見える

三つ巴紋は
神社建築や神紋として広く用いられる紋であり
水
渦
雷
武神
八幡信仰
祓い
などと結びつけて語られることがある

ただし
この神社における左三つ巴紋が
伊比良比咩命
大宜貴命
素盞嗚尊
の三神を直接象徴するものかどうかは
現段階では断定しない

ここでは
社殿に左三つ巴紋が見えることを確認し
その意味については
社伝
棟札
案内板
神紋の由来
地域の信仰
とあわせて今後確認する課題とする

信仰と由緒

案内板では
伊比良咩神社の主神を
伊比良比咩命とする

伊比良比咩命は
阿波国風土記に見える女神として注目される

この神名は
阿波の地名
水辺
女性神信仰
地域の産土神
などとの関係を考えるうえで重要である

ただし
伊比良比咩命を
ただちに水と再生の女神
生命循環の神
忌部神統の女性神
と断定することは避けたい

風土記本文
神社案内板
近世地誌
神社明細帳
棟札
地域伝承
を分けて確認する必要がある

大宜貴命について

大宜貴命は
大国主命と同一視される場合がある神である

国土経営
地の力
再生
医薬
縁結び
などと結びつけて語られることが多い

ただし
伊比良咩神社における大宜貴命の位置づけが
伊比良比咩命とどのような関係にあるのかは
案内板や社伝の記述を確認する必要がある

素盞嗚尊について

素盞嗚尊は
祓い
疫病除け
水
風
荒ぶる力の鎮め
などと結びつけて語られることがある

しかし
この神社で素盞嗚尊が祀られる理由を
ただちに水と祓いの神として整理することはできない

勧請の時期
合祀
地域の祭礼
疫病除け信仰
神仏習合期の影響
などを確認する必要がある

龍の木鼻について

社殿向拝には
龍を思わせる木鼻装飾が見える

龍は
水
雲
雨
守護
建築装飾
と結びつけて読まれることがある

ただし
龍の木鼻を
祭神三柱の象徴表現と見るには慎重でありたい

江戸期の社寺建築では
龍
獅子
獏
象
唐獅子
などの彫刻が装飾として広く用いられる

したがって
ここでは
龍の木鼻が確認できること
文化年間の再建または修理に関わる可能性があること
水神的解釈の余地があること
までに留める

建築について

案内板によれば
本殿は十七世紀中頃の建立とされる

向拝部分は
文化八年の再建とされる

形式は
一間社流造とされ
屋根はもと檜皮葺
現在は銅板葺とされる

また
藍住町指定有形文化財として指定されている

これらは
建築史の観点からも重要である

ただし
建立年代
再建年代
屋根形式
文化財指定の内容については
案内板
藍住町資料
文化財台帳
棟札
修理記録
を確認して整理したい

阿波忌部との関係

伊比良比咩命は
阿波国風土記に見える神名として注目される

そのため
阿波忌部
天日鷲命
麻植郡の祭祀
女性神信仰
地域の産土神
との関係を考えるうえで
重要な検討対象となる

ただし
伊比良比咩命を
天日鷲命の系統に属する神
忌部神統の女性神
と断定するには
風土記本文上の位置づけを確認する必要がある

現段階では
伊比良比咩命を
阿波国風土記に見える女神として扱い
忌部系伝承との関係は
今後の考証課題として残す

まとめ

伊比良咩神社は
阿波国風土記に見える伊比良比咩命との関係を考えるうえで
重要な神社である

社殿に見える左三つ巴紋
龍の木鼻
一間社流造の本殿
文化年間の再建伝承
町指定文化財としての価値
これらはいずれも注目すべき点である

ただし
三つ巴紋を三神の象徴と見ること
龍の木鼻を水と再生の直接表現と見ること
伊比良比咩命を忌部神統の女性神と断定すること
については
現段階では控えたい

本稿では
伊比良咩神社を
阿波国風土記に見える伊比良比咩命を考えるための現地観察対象として位置づける

今後は
風土記本文
案内板
神社明細帳
町史
文化財指定資料
棟札
地域伝承
を分けて確認し
伊比良比咩命の性格と
伊比良咩神社の由緒を
慎重に考証していきたい

翻刻初心者です(笑)誤読やミスの指摘 ご意見大歓迎です