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斎王臥淵

筑波大学図書館所蔵『阿波國風土記編輯雑纂』翻刻
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阿波国風土記 一巻 106~

阿波國風土記 編輯纂
<筑波大学図書館蔵書 見開きNO-106>


WP用(RL)通し翻刻(タグなし/行番号左寄せ)

(R)
①是故に此理さらになしなる□廟地村と云地名は詰座
②の神在世しにハ違阿らじと思ひ佐れど右の二神に
③天足大明神と云ふ神号かも□なし此社忘鳶社ニハ
④あれども是ハ足濵目門比賣神射ならん□を條下ニ
⑤論ひぬれバ慈にハ田九し分けぬ
⑥敷地村 大山祇神社と云社あり祭神大山祇命句ゝ迺馳命
⑦水波女命三座本殿二社ニテ拝殿ハ一社也井関ト云地ニ
⑧あり却*り此社こと縁ある也□る小社なるに五ヶ村の
⑨氏神にて是も水沼彦水塞姫のしゃなりといへども

(L)
①社地忘世まく式の社と云ふべ佐にハ冗へ受志かし
②其社の前に谷川ハあり井関の地に在グ□しの縁也
③と皆おもひけらしぬ
④牛嶋村 杉尾大明神 祭神 天水沼彦命天水塞ぎ姫命二座
⑤是社ハ地名ハ高白と云ふ地也然ニ一町斗り東の地ニ名西郡境
⑥にて関と云ふ祠也委廟其社の祠にかしぬ然るに神躰彦神ハ
⑦石躰姫神ハ仏像の如く西寶童子の如き木像なり又前に
⑧神の池ト云土地ありい法る引合ハあるなり*併神殿
⑨の内に(わっぱの絵)×2の如き髷をのわたり四寸位のとの損して
➉□る捕りたり一ッニハ天水の文字の姿捕りあり其川ニハ
⑪天水曲の字姿捕り二ッながら如妙ニ下ハきれてなし二ツ共ニ

(RL)翻刻

(R)
①是故に此理さらになしなる□廟地村と云地名は詰座
②の神在世しにハ違阿らじと思ひ佐れど右の二神に
③天足大明神と云ふ神号かも□なし此社忘鳶社ニハ
④あれども是ハ足濵目門比賣神射ならん□を條下ニ
⑤論ひぬれバ慈にハ田九し分けぬ
⑥敷地村 大山祇神社と云社あり祭神大山祇命句ゝ迺馳命
⑦水波女命三座本殿二社ニテ拝殿ハ一社也井関ト云地ニ
⑧あり却*り此社こと縁ある也□る小社なるに五ヶ村の
⑨氏神にて是も水沼彦水塞姫のしゃなりといへども

(L)
①社地忘世まく式の社と云ふべ佐にハ冗へ受志かし
②其社の前に谷川ハあり井関の地に在グ□しの縁也
③と皆おもひけらしぬ
④牛嶋村 杉尾大明神 祭神 天水沼彦命天水塞ぎ姫命二座
⑤是社ハ地名ハ高白と云ふ地也然ニ一町斗り東の地ニ名西郡境
⑥にて関と云ふ祠也委廟其社の祠にかしぬ然るに神躰彦神ハ
⑦石躰姫神ハ仏像の如く西寶童子の如き木像なり又前に
⑧神の池ト云土地ありい法る引合ハあるなり*併神殿
⑨の内に(わっぱの絵)×2の如き髷をのわたり四寸位のとの損して
➉□る捕りたり一ッニハ天水の文字の姿捕りあり其川ニハ
⑪天水曲の字姿捕り二ッながら如妙ニ下ハきれてなし二ツ共ニ

(R)現代訳

① 以上の理由から、この理については、もはや別に論ずるところはない。
 □廟地村という地名は、神が鎮座していた場所に由来するものと考えられる。

② その神が現世にあった時代においても、これは相違ないことであろうと思われるが、
 右に挙げた二神については、

③ 天足大明神という神号であったのかどうかは定かではない。
 この社は忘鳶社ではあるが、

④ これは足濵目門比賣神の神霊であろう。
 その点については、下に論じた通りである。

⑤ これらを論じ終えたので、ここでは区別をつけないこととする。

⑥ 敷地村には、大山祇神社という社があり、
 祭神は大山祇命および句々廼馳命である。

⑦ 水波女命の三座が祀られており、本殿は二社、拝殿は一社で、
 井関という地にある。

⑧ しかしながら、この社には特別な縁があり、
 小社であるにもかかわらず、五ヶ村の氏神となっている。

⑨ これもまた、水沼彦・水塞姫の社であるというが――。


(L)現代訳

① この社地は、忘世まく式の社であると言うべきところだが、
 そのように断定するのはためらわれる。

② 社の前には谷川があり、井関の地にあることから、
 その縁によるものとされている。

③ 人々は皆、そのように思っていたのであろう。

④ 牛嶋村には杉尾大明神があり、
 祭神は天水沼彦命と天水塞ぎ姫命の二座である。

⑤ この社の地名は高白という。
 そして一町ほど東の地は、名西郡の境にあたる。

⑥ そこには「関」と呼ばれる祠があり、
 詳しく見れば廟とも言える社の祠である。
 しかし神体について見ると、

⑦ 彦神は石像、姫神は仏像のようで、
 西寶童子に似た木像である。
 またその前には、

⑧ 「神の池」と呼ばれる土地があり、
 法による因縁の引き合いがあるとされている。
 なお神殿の内には、

⑨ (わっぱの絵)のような髷を結った像が二体あり、
 丈はおよそ四寸ほどで、部分的に損傷がある。

⑩ その一体には、天水の文字の形を写した姿が刻まれており、
 その川には、

⑪ 天水曲の文字を写した姿もあり、
 二つとも妙なる形ではあるが、下部は欠けている。
 いずれも同様である。

m106(R/L)トピック整理

廟地村という地名の由来

廟地村という地名は、神が鎮座した場所(座)に由来するものとして述べられている。

神号「天足大明神」の不確実性

二神に対して「天足大明神」という神号が当たるのかどうかは断定されず、判断保留として扱われている。

忘鳶社と足濵目門比賣神の関係

忘鳶社とされる社について、実際には足濵目門比賣神の神霊であろうという見解が示される(一部未確定)。

「田九し分けぬ」による論決回避

議論を行った結果として、ここでは区別・決着をつけないという編集上の処理が明示される。

敷地村・大山祇神社の所在と祭神

敷地村に大山祇神社があり、大山祇命および句ゝ迺馳命が祭神として挙げられている。

水波女命三座の社殿構成

水波女命三座を祀る社は、本殿二社・拝殿一社という構成を持ち、井関の地に所在する。

小社でありながら五ヶ村の氏神

規模は小社であるが、五ヶ村の氏神として信仰されている点が強調される。

水沼彦・水塞姫(天水系神)の位置づけ

水沼彦・水塞姫(L面では天水沼彦・天水塞ぎ姫)への連続性が示され、水神系のまとまりが見える。

社地分類へのためらい(忘世まく式)

社地を「忘世まく式の社」と分類すべきかどうかについて、断定を避ける叙述がなされる。

牛嶋村・杉尾大明神の祭祀

牛嶋村に杉尾大明神があり、天水沼彦命・天水塞ぎ姫命の二座を祭神とする。

地名「高白」と名西郡境

社地は高白と呼ばれ、一町ほど東が名西郡の郡境にあたると記される。

「関」と呼ばれる祠と廟的性格

「関」と称される祠が存在し、社と廟の中間的性格を持つ存在として描写される。

神体の具体的な姿

彦神は石躰、姫神は仏像のような木像で、西寶童子に似た姿とされる。

神の池と縁(引合)

「神の池」と呼ばれる土地があり、社との縁や引合があることが示唆される。

図像としての神像(髷を結った像)

神殿内に、髷を結った姿の小像が二体あり、高さ四寸ほどで一部破損している。

文字の姿捕り(天水・天水曲)

像や川には「天水」「天水曲」の文字の姿捕りがあり、いずれも下部が欠けた状態である。

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